著者: 多和田 葉子
ジャンル: 恋愛・ラブストーリー
評価: 3.4点 (30件)
タグ: 現代文学・日常・静謐・内省・散文詩・文学的・旅・言葉・記憶・人間関係
「犯人」との奇妙な出会いから始まる、言葉と記憶が織りなす物語。日常に潜む幻想的な出来事を追体験し、静かで不思議な世界に深く没入できる。
犯人と出遭った心躍る話は、みんなに話してきかせたくなる。エルベ川沿いの家を訪ねてきた背の高い男。ブレーメン出身の「鱒男」。路面電車で見た双子の片割れ。本名で呼ぶことのできない「マボロシさん」……。雲を見ていると「互い違い」な出遭いの数々が浮かんでくる。野間文芸賞受賞後第一作、待望の長編小説。 人は一生のうち何度くらい犯人と出遭うのだろうーー。 わたしの二ヵ国語詩集を買いたいと、若い男がエルベ川のほとりに建つ家をたずねてきた。彼女へのプレゼントにしたいので、日本的な模様の紙に包んで、リボンをかけてほしいという。わたしが包装紙を捜しているうちに、男は消えてしまった。 それから一年が過ぎ、わたしは一通の手紙を受け取る。 それがこの物語の始まりだった。 雲をつかむ話 第一章〜一二章